2008.5.21 "sc journal" 掲載blog 10
William Morris展
長野県軽井沢にあるメルシャン軽井沢美術館で開催されている『ウィリアム・モリス展』に行って来た。
行きたいと切望していた企画展。思い立った日は、遠くの山の緑もはっきりと見て取れるような空気の澄んだ快晴。肌にあたる風も爽やかな、これ以上ないような日。
“19世紀英国で最も傑出した芸術家・思想家の一人であったウィリアム・モリス。モリスのデザインした壁紙やテキスタイルのパターンは多くの人に愛され、100年以上経った今でも日常生活の中に生き続けています。”(図録より) ウィリアム・モリスの名前にピンと来なくても、彼のデザインした壁紙や内装用ファブリックのパターンを見ると「見た事ある」と思う人が多いのではないだろうか。1834年にイギリスで生まれ、おそらく、芸術(装飾美)を日常生活の中に持ち込んだ初めての人物。
芸術家でありながらあえて「モリス商会」という、今でいうデザイン事務所を立ち上げ、作品を商品として流通させる。日本と比べると「芸術」と「商業デザイン」の線引きが明確なイギリスにおいては、かなり画期的な動きだったのではないだろうか。そして、ちょうどその頃に完成期をむかえた「産業革命」。私は、モリスが芸術家としてその時流に乗ったことがすごいと思ってしまう。だからこそモリスの芸術は100年以上経った今でも人々の目に触れ、暮らしの中で「感動」を与え続けられるのだと...。
展覧会を見に行くと決め、高速道路を走りながら窓の外に広がる風景に感動し、久しぶりに訪れた美術館のたたずまいと建物を包み込むさまざまな緑とのコンポジションにまたまた感動し、会場へのアプローチにふとイギリスの森を感じ(写真)、帰りに信州の蕎麦をたらふく食す。 五感全てを通して「インプット」した感を満喫した一日。
すばらしい時間に感謝。(うの)